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2014年9月8日(月) —【トピックス

パチスロの規制について。これからどうなるのか?

パチスロの規制強化が行われる見通しとなった。主に現在「AT機」として市場に投入されている機械のベース部分についてだ。今回は、事の経緯とその詳細内容、さらには今後の遊技機開発に及ぼす影響について考察してみたい。

1.規制強化の経緯

2014年8月28日午後、日工組・日電協より行政側への説明が行われていた。参加したのは両組合の担当者および6メーカーだ。この6メーカーはグループ会社でいえば4系列会社、ともいえる。内容は「周辺基板に係る不正対策への取り組みの経緯について」だ。組合側からの説明は滞りなく終了したが、その直後、行政側より別に、話が出た。そしてその内容は、業界に激震が走るような厳しい内容だった。

2.規制強化となる部分

パチスロ規制強化の概要は、先に遊技日本がWebで報じている通り「出玉率55%以上についての試験内容の変更」だ。現在のパチスロはご承知の通り6通りの試射試験がある。「全ての成立フラグが入賞し最大数を獲得したと仮定するシミュレーション試験」と「実射試験」、そしてそれぞれの短時間、中時間、長時間試験だ。今回の内容は、この中で「長時間の実射試験」の部分についてのみ該当するものだ。規則上の下記の部分だ。

遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(抜粋)
別表第5 回胴式遊技機に係る技術上の規格(第6条関係)
ロ(リ) 設定ごと及び規定数ごとに、(ホ)に規定する試験を17,500回行った場合において、獲得する遊技メダル等の総数が、投入をした遊技メダル等の総数の20分の11を超え、かつ、1.2倍に満たないものであること。

ここに「20分の11を超え」とあるのが、いわゆる出玉率の下限55%といわれる部分だ。この点の解釈は、実はいわゆる「ベース」ではない。例えば純Aタイプと呼ばれる機種であれば、「ビッグボーナス+レギュラーボーナス+小役」の合計で55%を超えればいい。したがって通常の機種であれば、下限が55%を下回ることはまずない。

今回、問題となったのは現市場でいわゆる「AT機」と呼ばれるものだ。このタイプは、実はATに突入しても「ボーナス中」ではないのはもちろん、リプレイ確率が変わる「RT中」ですらない。つまりメイン基板では、ただの通常時だ。それをサブ基板で押し順ナビを出しているだけの状態だ。

この「AT」について行政側は問題視していた、というのが今回の真相だろう。実際、「年明けからはATではなくART機に移行して、ナビもメイン基板から出力する」という流れが予測される発言も、現場では言われていたようだ。

3.規制強化の内容

9月16日の型式試験から開始される運びとなった試験内容の変更点は、主に以下のようなものだ。今までの試験では「AT中」に関してもボーナス扱いとして、試射試験でもナビ通り押して小役を獲得していたと思われる。今回AT中に関しては「メイン基板では通常時だから、ナビに従うことはしない」という事になる。

一部で「順押しのみで試験を行って55%」という話も出ているが、これは一般的な今の遊技機を想定して言っているだけで、実際には順押しだけではない。現実的には「6通りある押し順のうち、いずれか一つのみを続けた場合でも55%以上」になる必要がある。つまり、最もベースが低くなる押し順で55%以上、ということは、結果として全ての押し順で55%を上回る必要が出てくる。もちろん順押しだけの試験ではないから「通常時にファンに逆押しさせて、逆押しベースを抑える」なんてアイデアも当然に不可だ。

今回のこの規制により、現市場でメインスペックであるAT機については問題が多く発生することとなる。

4.規制強化の影響

さて、今回の規制で最も影響を受けるのは「AT機の通常ベース」だ。現在のAT機は「左リール第一停止」の場合だけがベースが低くなるよう設計されている。逆に「中や右リール第一停止」ではベースが90%程度になるが、ペナルティが発生してATに突入しない、という設計が基本的なものだ。これが、今回から「どの押し順で遊技し続けても55%以上」になる。基本設計は変わらないものの、小役(主にベル)を単純に6択に6分割均等に割る必要が出てくる。当然、順押しでのベースは高くなる。では実際にはどのあたりになるのか。

50枚を最初3枚入れで回せるゲーム数は16.7G。主流の純増3枚近い遊技機なら、リプレイは約4分の1で揃うため約4.17回。他のゲームが12.5回で、この払い出しが55%なら約20.6枚の払い出しとなる。つまり、1,000円でリプレイが4回程度、小役で21枚程度払い出される。これを繰り返すため、計算するとリプレイ確率が4分の1の機種なら、ベースは1000円で49.4回もまわることになる。コイン単価は確実に1円を切るため、実際に営業で使える機種からは程遠くなる。

5.その他の影響と今後の方向性

さて、上記した通り今回の規制で影響するのは主にAT機だ。逆にいえば、ビッグボーナス(第1種特別役物に係る役物連続作動装置)やレギュラーボーナス(第1種特別役物)メインの機種(ジャグラーなど)については、ナビ通り打たなくても押し順に関係なく小役は出るので影響はほとんどない。ただしCT(第2種特別役物)に関しては、最低でも1つのリールは即止め制御になるため、即止め停止のリールが最終停止になる押し順の場合は小役が取りにくいという問題も合わせて発生する。CTについては、リール配列や小役構成で今後は若干の工夫が必要になるかもしれない。

今回の規制内容は、9月16日の型式試験持ち込み分から、となっている。したがって9月15日までに持ち込んで適合したものについては、問題なく販売される見込みだ。今後は「現在販売中のAT機」「各メーカーが保有している未発表AT機」に注目が集まりそうだ。さらには中古機価格が高騰する可能性も高い。

新機種開発の今後の方向性としては、初代エウレカセブンのような「ボーナス+ART」というのが、現実的に開発できて使える機種の軸になりそうだ。さらには前述したように、年明け2015年からはARTを中心とした仕様で、押し順ナビについてもメイン基板出力となる構えだ。パチンコの「セグ」のように、パネルのどこかで押し順がLEDで光るような仕様が想像される。「エージェントクライシス」の「増えないボーナス」搭載から進化し続けてきたAT機は、ここで5年前にさかのぼることを余儀なくされることとなった。

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